はじめに
統計でよく使われているソフトJMPの使い方を簡単にまとめます。
- 患者背景のまとめ
- ある因子Xの2群間比較
- ある因子Xにおけるカプランマイヤー曲線(生存曲線)
- 単変量・多変量解析
ちなみに統計の専門ではありません。逆に使い方を悩んで使用して出来るようになったため、簡単に時間をかけずに初心者の方の役に立てたらと思います。
下準備
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/001.png?resize=623%2C664&ssl=1)
まずは、このように必要な情報をエクセルにまとめていきます。
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2024/02/81hsexXmh0L._SL1500_-1.jpg?resize=883%2C1024&ssl=1)
あとで必要になるのでエクセルとJMPで使いやすいようにしておきます。
年齢や体重など数字自体に意味があるものは変更が必要です。
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/002.png?fit=1024%2C821&ssl=1)
年齢の部分を選択して右上の標準のところを選択します。
![](https://i2.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/003.png?fit=1024%2C805&ssl=1)
数値を選択します。
とりあえずこれでいったんJMPを開きます。
1. 患者背景のまとめ
N=20 | |
年齢(歳) | 63.5 (40- 85) |
性別 [ 男 / 女 ] | 12(60.0%)/ 8(40.0%) |
病名 [ A / B / C ] | 12(60.0%)/ 5(25.0%)/ 3(15.0%) |
体重(㎏) | 59.5( 40 – 86 ) |
因子X[ あり / なし ] | 14(70.0%)/6(30.0%) |
今の情報を上記のような表を作成する際にもJMPで簡単にできます。
まずはJMPを開きます。
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/006.png?resize=650%2C547&ssl=1)
このように表示されます。
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/007.png?resize=691%2C562&ssl=1)
次に上の【分析】を選択し、
【一変量の分布】を選択
![](https://i1.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/009.png?fit=1024%2C864&ssl=1)
必要な項目を選択し(下矢印部分)
【Y.列】を選択、【OK】を選択
![](https://i2.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/010.png?fit=1024%2C758&ssl=1)
下準備で数値に変更した列である、年齢や体重のように連続尺度を用いているものは、このように表示されます。
中央値や最小値、最大値などいろんな情報が一瞬で解析できます。
それを表に埋めていきます。
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/011.png?fit=1024%2C767&ssl=1)
性別などもすぐに男性の数、女性の数、全体における割合も即座に解析してくれます。
このようにして患者背景のまとめを簡単に作成できます。
2. 二群間比較
因子X あり(n =14 ) | 因子X なし(n =6) | P値 | |
年齢(歳)[≧64, <64 ] | 7(50.0%)/7(50.0%) | 3(50.0%)/3(50.0%) | 1.000 |
性別 [ 男 / 女 ] | 8(57.1%)/ 6(42.9%) | 4(66.6%)/2(33.3%) | 1.000 |
病名 [ A / B or C ] | 8(57.1%)/ 6(42.9%) | 4(66.7%)/ 2(33.3%) | 1.000 |
体重(㎏)[ ≧59.5 / <59.5 ] | 6(42.9%)/8(57.1%) | 4(66.7%)/2(33.3%) | 0.629 |
上記のような表を作成できます。
いったんエクセルに戻り、二群間比較ができるように調整します。
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/image-2.png?resize=892%2C561&ssl=1)
例えば、年齢は先ほどの患者背景のまとめで行った解析では、中央値が63.5歳となりました。
そのため、高齢群(64歳以上)、低年齢群(63歳以下)と2群に分け、高齢群をH、低年齢群をLとしました。
それを解析用の列を作成し、上記のエクセルのように埋めていきます。
また、病名はA、B、Cの3群となっており、解析できないので、無理やり2群に分けます。(解析に意味が出来そうに自分で分けてください。)
今回はAとBCと2群に分け、Aを1と決めました。
後で、カプランマイヤーによる生存曲線を描くときに必要なので、打ち切りも記載しておくとよいと思います。
生存を1、死亡を0とすると後でやりやすいです。
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/014.png?resize=833%2C608&ssl=1)
また、JMPを開いて【分析】→【二変量の関係】を選択
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/015.png?resize=766%2C646&ssl=1)
2群に分けたい項目を【X.説明変数】に入力。
その因子における、年齢や性別などの調べたい項目を【Y.目的変数】に入力。
OKを選択。
![](https://i1.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/016.png?fit=818%2C1024&ssl=1)
これで、2群間の表に入力し、表が完成します。
P値も下の部分の赤丸に記載されています。
3. カプランマイヤー曲線(Kaplan-Meier曲線)
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/024.png?fit=1024%2C716&ssl=1)
カプランマイヤー曲線は上記のような生存曲線のことです。
では、実際JMPを用いて行います。
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/017.png?resize=807%2C630&ssl=1)
【分析】→【信頼性/生存時間分析】→【生存時間分析】を選択。
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/018.png?resize=808%2C526&ssl=1)
上の図のように、検討したい2群をグループ変数に入力、Y.イベントまでの時間に生存期間などを入力。
打ち切りを入力してOK。
注意:エクセルの打ち切りの1と0が生存、死亡で逆になっていると変なグラフが完成します。
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/019.png?resize=421%2C681&ssl=1)
このようになります。
これでも良いですが、グラフの縦軸、横軸などを好きなように変更してください。
![](https://i2.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/020.png?fit=1024%2C797&ssl=1)
それぞれ右クリックで好きなように変更できます。横軸のメモリは、12か月ごとにするとわかりやすいかもしれません。
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/021.png?fit=804%2C1024&ssl=1)
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/022.png?fit=800%2C1024&ssl=1)
さらにイベントを点や行マーカーとするとわかりやすいグラフになります。
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/023.png?resize=733%2C983&ssl=1)
グラフのコピーを選択すると、PowerPointなどに張り付けても綺麗に貼れます。
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/024-1.png?fit=1024%2C716&ssl=1)
これで完成です。
最後に単変量・多変量解析まで行きましょう。
4. 単変量・多変量解析
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2024/02/81hsexXmh0L._SL1500_.jpg?resize=883%2C1024&ssl=1)
今回の分では症例数が少ないので、意味があるか分かりませんが、やり方を記載します。
単変量解析から
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/05/025.png?resize=764%2C582&ssl=1)
【分析】→【モデルのあてはめ】
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/026.png?resize=756%2C476&ssl=1)
比例ハザードを選択
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/027.png?resize=778%2C480&ssl=1)
各項目の入力。変数を下のところに入れます。
図では、性別を入力しています。
実行。
その後、下の図のように出てきますので、上の部分の赤下矢印を選択して、リスク比を選択。
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/028.png?resize=988%2C406&ssl=1)
![](https://i2.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/029.png?fit=599%2C1024&ssl=1)
すると一番下にリスク比が表示されます。それを表に入力していきます。
それを一つずつ行っていき、表の左部分の単変量解析が終わります。
次に多変量解析。
今回は項目数が少ないので、全て入れていきます。
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/030.png?resize=852%2C527&ssl=1)
項目の部分が性別だけでなく、年齢、病名、体重、因子Xが入っています。
実行。
![](https://i2.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/031.png?fit=829%2C1024&ssl=1)
このようになります。
また、上の赤下矢印からリスク比を選択。(単変量と同じです。)
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2020/04/032.png?fit=834%2C1024&ssl=1)
すると下の部分に、リスク比がそれぞれ出てきますので、表の右側に入力して完成です。
今回の結果で言うと、
「因子Xは生存期間延長に有意な独立因子と言える」
と締めくれる結果となりました。
最後に
例が20例と少なく、統計学的に意味が無いとですが、JMPの使い方の参考となれば幸いです。
JMPでの解析は他にもいろいろと可能です。
書籍では、JMPでの勉強は、これが一番オススメです。
![](https://i0.wp.com/totyokunikki.com/wp-content/uploads/2024/02/81hsexXmh0L._SL1500_-2.jpg?resize=883%2C1024&ssl=1)
統計学は難しいですが、こちらはマンガでわかる統計学。目次も読めるので、一度試し読みしてみてください。
カテゴリーでのベストセラーも獲得されている本です。
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