はじめに
Rでは、間違った部分が存在すると、エラーが生じます。
最初の頃は、そのエラーだけで何日も費やすことがありますので、エラーとその解決策を今後の方のために残していきたいと思います。
R言語とはプログラミング言語の一つです。特に統計解析に強いとされます。さらにDeep learningの分野でも注目を浴びています。
Rでのエラーでよく出会うものを選んで、その原因と解決法を載せていきたいと思います。

Rのエラー原因 「chisq.test(table_sex) で: カイ自乗近似は不正確かもしれません」
今回のエラーは、一般的に出てくるエラーです。
出てきたエラーは下記です。
警告メッセージ: chisq.test(table_sex) で: カイ自乗近似は不正確かもしれません
というエラーメッセージが出たので、同じように困っている方がいればと思い、解決までの方法を記載しておきます。
これは期待度数が低いことで起こるエラーです。
期待度数については、後で詳しく説明します。
また、エラーというよりは正確なp値が出ない結果になっているとのことであり、そのあたりも詳しく後で説明します。
Rでのエラー解決 「警告メッセージ: chisq.test(table_sex) で: カイ自乗近似は不正確かもしれません」
簡単には
# カイ二乗検定の実施
chi_result <- chisq.test(table)
# 期待度数を確認してFisher検定を使うかどうかを判断
if (any(chi_result$expected < 5)) {
cat("期待度数が5未満のセルがあるため、Fisherの正確検定を実施します。\n")
result <- fisher.test(table_sex)
} else {
cat("十分な期待度数があるため、カイ二乗検定の結果を使用します。\n")
result <- chi_result
}
# 結果の表示
print(result)
下記に詳しい警告メッセージへの対処法を記載します。
この警告が表示された場合、以下の対処法を検討することができます:
1. Fisherの正確確率検定を使用する
小さなサンプルサイズや期待度数が小さいセルがある場合、Fisherの正確確率検定がより適切です:
Copyfisher.test(table_sex)
Fisherの正確確率検定は、期待度数に関する前提条件を必要とせず、小さなサンプルサイズでも正確なp値を算出できるという利点があります。特に2×2の分割表に適しています。より大きな分割表の場合は計算が複雑になりますが、Rは拡張版のFisherの正確確率検定を実装しています。
2. サンプルサイズを増やす
可能であれば、より多くのデータを収集することで、期待度数の問題を解決できる場合があります。サンプルサイズが大きくなると、各セルの期待度数も増加し、カイ二乗検定の近似がより正確になります。
3. カテゴリーを結合する
カテゴリー数が多い場合、関連するカテゴリーを結合して期待度数を増やすことができます。例えば、年齢層を「20代」「30代」「40代」「50代以上」のように細かく分けていた場合、「20-30代」「40代以上」のようにまとめることで、各セルの期待度数を増やすことができます。
ただし、この方法はデータの詳細情報が失われるというデメリットがあります。また、カテゴリーの結合は理論的・概念的に意味のある方法で行う必要があります。
4. シミュレーションベースの方法を使用する
Rでは、モンテカルロシミュレーションに基づくp値の計算も可能です:
Copychisq.test(table_sex, simulate.p.value = TRUE, B = 10000)
このアプローチでは、観測されたデータと同じ周辺分布を持つ多数のランダムな分割表を生成し、それらに基づいてp値を計算します。これにより、期待度数が小さい場合でも、より信頼性の高いp値を得ることができます。
5. イェイツの修正を検討する
2×2の分割表の場合、イェイツの連続性修正(Yates’ continuity correction)が自動的に適用されます。この修正は、カイ二乗統計量を小さくすることで、第一種過誤(実際には差がないのに差があると判断する誤り)のリスクを低減することを目的としています。
Rのchisq.test()
関数では、correct = TRUE
(デフォルト)に設定することで、イェイツの修正が適用されます:
Copychisq.test(table_sex, correct = TRUE) # デフォルト
chisq.test(table_sex, correct = FALSE) # 修正なし
ただし、イェイツの修正は常に推奨されるわけではありません。サンプルサイズが大きい場合や、期待度数が十分に大きい場合には、修正を行わない方がより正確な結果が得られることがあります。
6. 効果量の指標を併用する
統計的検定だけでなく、オッズ比やクラメールのV係数などの効果量の指標も併せて報告することで、データの関連性をより包括的に評価できます:
Copy# オッズ比の計算例
odds_ratio <- (table_sex[1,1] * table_sex[2,2]) / (table_sex[1,2] * table_sex[2,1])
print(paste("オッズ比:", odds_ratio))
# vcd パッケージを使用してクラメールのV係数を計算
library(vcd)
assocstats(table_sex)
効果量の指標は、関連性の強さを示す尺度であり、サンプルサイズに大きく影響されないという利点があります。p値と併せて効果量を報告することで、結果の実質的な意味をより適切に評価することができます。
実際の研究での対応
実際の研究では、この警告に遭遇した場合、以下のような対応が推奨されます:
1. 方法論の適切な選択
カイ二乗検定の前提条件が満たされない場合は、Fisherの正確確率検定などの代替手法を選択します。複数の分析手法を試し、結果の一貫性を確認することも有効です。
2. 研究報告での具体的な記述例
論文やレポートでは、以下のように記述することが推奨されます:
「MSI_status_groupと性別の関連性を検討するためにカイ二乗検定を実施したところ、統計的に有意な関連は認められなかった(χ²=0, df=1, p=1.0)。ただし、期待度数が5未満のセルが含まれていたため、Fisherの正確確率検定も併せて実施した結果、同様に有意な関連は認められなかった(p=1.0)。サンプルサイズが限られていることから、これらの結果の解釈には注意が必要である。」
このように、検定方法の選択理由、結果の限界点、そして結果の解釈に対する注意点を明記することが重要です。
3. 複数の方法での検証と視覚化の活用
統計的検定だけでなく、データの視覚化(モザイクプロットやバープロットなど)も併せて提示することで、データの関連性をより直感的に理解することができます:
Copy# モザイクプロットの作成
library(vcd)
mosaic(table_sex, shade = TRUE, legend = TRUE)
# バープロットの作成
barplot(prop.table(table_sex, 1), beside = TRUE,
legend.text = TRUE, args.legend = list(x = "topright"))
視覚化は、統計的検定の結果を補完し、データの傾向やパターンをより明確に示すことができます。
Rの基本的なことであれば、下記の本がオススメです。
2016年に第3版が出ました。少し古いですが、基本が網羅されています。レビューも高評価。
基本ネットで調べれば出てきますが、本として包括的なテキストを持つことは、便利で私は一冊持っておくのが役立っています。
立ち読みも出来ますので、下記リンクから立ち読みしてみてください。
The R Tips 第3版: データ解析環境Rの基本技・グラフィックス活用集
こちらも高評価かつ新しい本になります。特に初心者におすすめの内容です。
知りたい内容があるか、目次で確認してもらえるので、必要であるか確認してみてください。

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