はじめに
VTIとは、米国ETFの一種です。有名なETFはVOO(S&P500)やVIG、QQQなどがあります。
VTIは簡単に言えば、米国全体に投資するETFです。そのため、他のETFと違い、構成銘柄が非常に多く、小型株も投資対象となります。長期的には小型株の方が、成長率が高いことが知られています。
では、実際のところ、VOO(S&P500)と比較してどうなのでしょうか?
今回の記事内容です。
- VTIの特徴と基本データ
- VTIのリスクとリターン(S&P500と比較して)
人気のVOOと比較して検討していきます。
VTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)の特徴と基本データ
VTIの正式名称は、バンガード・トータル・ストック・マーケットETFです。
つまり、バンガード社の米国株式全体で構成されたETFということです。
VTIの特徴
- 構成銘柄が非常に多い (約3500銘柄)
- 小型株が含まれる
- 信託報酬(運用コスト)が低い
簡単に言えば、これだけで米国全体にまるっと投資できるETFといったところです。長期的に米国の成長を見込むならこれだけで良いともいえるETFとなっています。
1-1. 構成銘柄が3521銘柄と非常に多い
VTIの構成銘柄は、3521銘柄(2020/02/29現在)と非常に多くなっています。
米国の代表的な指数であるダウやS&P500は、それぞれ大企業を中心に30、500銘柄で構成されています。これらをもとに作られたインデックスファンドであるDIA、VOOと比較してもVTIの構成銘柄数が非常に多いことがわかります。
- DIA(ダウ) 30銘柄
- VOO(S&P500) 500銘柄
- VTI(CRSP US Total Market) 3521銘柄
※CRSP US Total Market:米国の株式市場に上場のほぼ100%を占める超大型から超小型に至る約3500の銘柄からなり構成される株式指数です。浮動株調整後の時価総額比率で加重平均した指数化したものです。
米国の株式市場全体に投資するETFと言うことで、構成銘柄数が非常に多くなっており、アップルなどの世界的な大企業だけでなく成長性の高い小型企業も含まれています。
構成銘柄の上位10社です。
順位 | 保有銘柄 |
---|---|
1 | Microsoft Corp. |
2 | Apple Inc. |
3 | Amazon.com Inc. |
4 | Alphabet Inc. |
5 | Facebook Inc. |
6 | Berkshire Hathaway Inc. |
7 | Johnson & Johnson |
8 | JPMorgan Chase & Co. |
9 | Visa Inc. |
10 | Procter & Gamble Co. |
純資産総額に占める上位10銘柄の割合 20.7 % |
上記を見てもらえればわかりますが、マイクロソフト、アップル、アマゾン、アルファベット(グーグルの親会社)、フェイスブック、バークシャー、ジョンソンエンドジョンソン、JPモルガン、ビザ、P&Gなどが上位10銘柄であり、日本でもなじみのある銘柄ばかりです。
これら10銘柄で20%を占めているというのも安心感がありますね。
組み入れ上位10銘柄はVOOと同じになっています。各銘柄の比率はVTIの方が少しずつ(1%未満ですが)低くなっています。
セクター別にみると下記のようになっています。
テクノロジーが23%を占め、現在の米国の産業構造を表していますね。
1-2. 小型株が含まれる
長期的にみると、小型株が大企業より成長性が高いとされています。
VOOと比較すると、3000銘柄ほど多くの銘柄に投資できることが特徴です。
最近は、GAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)の成長が著しいため、それらの構成比率の高い、S&P500やQQQなどの株価の上昇率がたかいため、すごく人気です。
1-3. 信託報酬(運用コスト)が低い
信託報酬は、ETF選択において非常に重要な部分となります。
VTIの信託報酬は0.03%と非常に高水準となっています。運用コスト0.5%でも低いと言われていますが、比になりません。
信託報酬は、2016年 0.05%、2017年 0.04%と徐々に低下してきており、どんどん引き下げられており、信託報酬の面からも優秀なETFと言えます。
ちなみにVOOの信託報酬も0.03%と激安です。
VTIのリスクとリターン (S&P500と比較して)
VTIの設定年は2001年となっており、2008年のリーマンショックも乗り越えてきている伝統あるETFです。
下記が2001年からの株価の動き(チャート)となっています。
現在、コロナウイルス(COVID-19)が脅威をふるっており、株価が下落していますが、長期的には右肩上がりで来ています。
VOOがこちらになります。
VOOと比較してもチャートはほぼ変わりません。VOOは設定が2010年とリーマンショックを乗り切っていません。
VTIとVOOを過去5年間で比較しましょう。
過去5年では、VOOの方が少し良い成績となっています。
コロナショックでの下落率は
- VOO 最大下落率 -34%
- VTI 最大下落率 -35%
ほぼ同じですが、少しずつVOOが勝っています。
リーマンショックを乗り越えたS&P500指数連動ETFと比較しても、VTIは少し劣ります。
小型株を含むからといって成長性が高いかどうかは、わからない結果となりました。逆に小型株が含まれるリスクについてはほぼ影響が無いとも言えますね。
GAFAMは、成長性が高いがショックにも強かったことが今回のコロナショックでは示されています。
大型株の成長性が高いことから、このような結果になったのかもしれません。
ちなみにGAFAMの影響が強いQQQと比較すると
- QQQ 最大下落率 -28%
- VOO 最大下落率 -34%
- VTI 最大下落率 -35%
とQQQが圧倒的に下落率も低くなります。
QQQは強いですね。。
GAFAMの影響がどこまで続くかによりますので、今後はわかりませんが。
リスクはVTIが分散は強いため小さいと考えられますが、VOOでも十分なレベルと考えられます。基本的にVTIはアメリカが成長する限りVTIも右肩上がりの上昇を見せてくれると思われます。
まとめ
①VTIとは、銘柄数が約3500銘柄で、アメリカ経済全体への投資である。
②VTIは、S&P500のインデックスファンドであるVOOと比較して
- リターンはほぼ差がない(VOOの方が少し良い結果)
- 信託報酬(運用コスト)は、同じ0.03%と激安
- 小型株が含まれる(大きなリスクにはならない)
VTIかVOOは、好みによるのかもしれません。
リターンの差があまり大きくないので、個人的にはVTIの方がなんとなく安心感がありますかね。
なお、VT(全世界)の方が分散は効いていますが、リターンの差があるためにVTIを選択しています。また後日比較してみます。
では、みなさんの資産運用がうまくいくことを祈っています。
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