インフルエンザについて 2019-2020 【潜伏期間、症状、薬物治療、自宅安静期間など簡単に解説】

健康

今年も寒くなってインフルエンザが流行しています。

インフルエンザで高齢者の死亡ニュースなど聞くと怖い気持ちになりますね。

実際、元気な若者でも高熱が出れば、かなりしんどいものです。

また、これから仕事も始ったところですので、インフルエンザになった場合はどれくらい休まないといけないの?などの疑問も多いかと思います。

特に年末から1月にかけて今のところすごく流行しています。 わたしも外来で診ていると、たくさんのインフルエンザ患者さんをみます。年末年始の休み中も働いていましたが、すごく多くなった印象です。

今回は、インフルエンザ診療の限界や自宅安静期間のちょっとした間違い?なども解説します。

この記事はこんな方向けです。どちらかというと医療者ではない方向けですが、治療などについては医療者向けくらい詳しく書いてしまいました。

  • インフルエンザにそもそもどんな病気?
  • インフルエンザはいつ流行るの?
  • インフルエンザ患者と接触してしまった。どれくらいで発症する?(潜伏期間は?)
  • インフルエンザの診断は?どんな症状があれば疑わしい?
  • インフルエンザの治療方法は?たくさん種類が出てきているけど、どうやって選べばいい?
  • インフルエンザの安静期間は?治るのにどれくらい時間がかかる?
  • インフルエンザになったら注意することは?(感染予防と休養、水分摂取が重要です!)

インフルエンザとは

そもそもインフルエンザとは?

インフルエンザウイルスに感染して発症するウイルス疾患です。普通の風邪もウイルスによる感染ですが、咳、鼻水、喉痛などの症状で全身症状は強くありません。一方インフルエンザは、38℃以上の高熱、全身の筋肉痛、関節痛、全身倦怠感などが主で、さらに感冒症状と言われる風邪症状(咳、鼻水、喉痛など)が付随して症状として出現します。

高熱による頭痛、嘔気、めまい、食欲不振なども相まって強い症状となります。特に、嘔気や食欲不振が怖い症状で、水分摂取の低下による脱水を引き起こします。脱水は死ぬ病気ですので、十分に注意したいところです。さらに電解質異常なども注意したいところです。

高齢者は特にOS1などの電解質補正も兼ねた水分摂取が推奨できると思われます。

頭痛やめまいも通常は怖い症状ですが、解熱のタイミングで改善したり、神経症状(麻痺や物が二重に見えるなど)が無かったりすれば、高熱による症状と考えられますので経過観察で良いと思われます。

インフルエンザの流行期、インフルエンザはいつかかるの?

インフルエンザの流行は基本的に11月から4月が流行シーズンとされています。大流行するのは、12月から3月のイメージです。

インフルエンザはどれくらいの期間で発症する?診断はどうやってする?

潜伏期間 どのくらいの期間で発症するか?

まずはインフルエンザの潜伏期間についてお話しします。

インフルエンザはかかってから、発症するまで1-2日と言われています。実際、インフルエンザ患者と接触し12時間程度で発熱される患者さんもおられました。うつると結構すぐに発症する印象です。

あとで述べますが、インフルエンザの診断迅速キットは発熱後12時間経過しないと、本当は陽性になる人が陰性となってしまう確率が高くなります。(偽陽性といいます。)そのため、発症後すぐはあまり検査しても診断とならない可能性が高くなります。

インフルエンザ患者と濃厚接触した場合、予防内服という抗インフルエンザ薬の内服(もしくは吸入)も可能です。病院受診して相談しても良いかもしれません。

 

インフルエンザの診断

インフルエンザの症状、潜伏期間は上記に述べましたが、診断の手がかりとなるものは(臨床)症状と検査が一般的です。

診断基準とされているものが、下記の4つです。

流行期(11月-4月)に下記の4つ全て満たせば、臨床的に(検査なしでも良いと考えます。)診断できます。

  1. 突然発症(急にしんどくなったなど)
  2. 高熱(38℃以上の発熱)
  3. 上気道症状(咳、鼻水、喉痛など)
  4. 全身倦怠感などの全身症状(筋肉痛や関節痛、しんどいなど)

もちろん、他の熱の出る病気である、肺炎や虫垂炎(いわゆる盲腸) なども考えないといけません。まれに、肺炎を合併したインフルエンザも存在します。高齢者など抗インフルエンザ薬を用いた後も解熱しない、良くならない、咳が強いという時は、レントゲンチェックが重要です。(高齢者の場合は、インフルエンザ検査とともにレントゲン検査もしてもよいかと思っています。)

インフルエンザ迅速キットもよく使う診断方法です。

こちらのメリットは、わかりやすく客観的に診断できることです。

デメリットは、検査がしんどい、発症後12時間経たないと検出しずらい(陽性になりにくい、陰性と出てしまいやすい)ということです。

咽頭と呼ばれる部分の粘膜を取ってきて、インフルエンザウイルスがいるか確認できるという検査です。検査は5分程度で出来ます。

実際、検査を開始してすぐに陽性となる人もいれば、5分経ってうっすら陽性という人もいます。

これは、どれだけウイルスを撒き散らしているかと関係します。感染初期はまだウイルスを撒き散らしておらず、検査でひっかかりません。逆に、ウイルス量が多いと検査で陽性になりやすいです。

インフルエンザの治療は?【抗インフルエンザ薬を中心に】種類や副作用について

インフルエンザの薬は増えてきており、より使いやすいと思います。最近は、すごく良く効く印象です。

薬の種類としては以下があります。

  • オセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル等)
  • ザナミビル水和物(商品名:リレンザ)
  • ペラミビル水和物(商品名:ラピアクタ)
  • ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(商品名:イナビル)
  • バロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)

たくさんあります。どれを選べば良いか。

まず、ラピアクタのみ点滴薬になります。重症患者(人工呼吸器管理が必要など)や、他の薬がアレルギーで使えないなどの患者で使用することになり、通常はあまり使用しません。

次に、リレンザイナビル吸入薬です。高齢者や小児など、吸入がうまく出来ない患者には不向きです。吸入できていなければ効果がありませんので。イナビルは1回のみの吸入で良いので楽ですが、1回を失敗すると効果が得られません。

最後に内服薬であるタミフルゾフルーザです。タミフルは1日2回5日間内服の薬で、昔からある薬です。一時期異常行動が問題となり、小児では控えられていたタミフルですが、他の抗インフルエンザ薬と明らかな差がないとのことで、添付文書からも制限が無くなっています。(異常行動はインフルエンザ時であれば、起こる症状ですので薬とは関係なく注意していただきたいと思います。)タミフルが一番使いやすい薬にはなります。また安いです。小児には粉薬(ドライシロップ)があります。ゾフルーザは一番最近に出た薬です。他のインフルエンザ薬と違って効果機序が違うことが特徴です。他の薬に耐性が出てもゾフルーザは使えるかもしれないということです。ただ、このゾフルーザが耐性が出来やすいと言われています。良い薬ですが、何でもかんでもゾフルーザというのは良くないかなと考えます。

インフルエンザの薬は、感染初期が一番効果があるので、インフルエンザ迅速キット検査が陰性でも症状から診断できれば抗インフルエンザ薬を使用して良いと考えています。(もちろん、耐性の問題がありますので何でも使えば良いという問題ではないですが。)

発症から48時間以内に内服、吸入など治療薬を用いれば、発熱期間は1-2日短縮され、ウイルス排出量も低下するとされています。発症から2日以上経ってしまうと効果は期待できないというデータもあります。

インフルエンザにかかったらどのくらい外出を控えれば良い?

学校保健安全法では、【発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで】を出席停止期間としてます。インフルエンザのウイルス排出期間は、発症後3-7日間とされています。その期間は外出を控え、マスクを着用することが良いと考えられますが、仕事などの関係もあるかと思いますので主治医に相談するのが良いと考えます。インフルエンザの陰性の判断は、難しく症状と経過とを総合判断する必要があると思います。

特に注意して欲しいこと

インフルエンザは、風邪と同様ウイルス疾患ですので、体力があれば基本的には治る病気です。ただ、水分摂取をしっかりすること。これが一番大事です。脱水は本当に怖い病気です。発熱している状態では、水分は普通よりも早く失います。また、全身倦怠感や嘔気、食欲不振から水分摂取が出来にくい状態です。家族の方は、出来るだけ水分摂取させるよう心がけましょう。OS1などの経口補水液も良いですが、無ければ水で問題ないと思います。

高齢者や小児などは高熱であれば、早期病院受診がとても重要です。インフルエンザは重篤化すると怖い病気です。

最後に、インフルエンザワクチンや、マスクやうがいなどの感染予防が最も効果的です。ならないことが最善ですので。お体には十分気を付けてお過ごしください。

 

これからもお役にたてるような記事を書いていこうと思います。

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